《時間をかけて治る傷》
カレンデュラ、オリーブ油、パーム油、ココナッツ油、ひまし油、パプリカパウダー、苛性ソーダ、精製水、ガラス瓶、カレンデュラシード
2020年ー

Exhibition
「ya-gins vol.40 榎本浩子 時間をかけて治る傷」
2020.10.31 – 12.20
ya-gins
Photo by 毛利聰

 

傷ついた皮膚や粘膜を修復し保護する作用があるカレンデュラ。昨年の秋に種を植え春にはたくさんのオレンジ色の花を咲かせました。花を乾燥させオイルに浸して成分を抽出し、それを使って材料に熱を加えずに時間をかけて熟成させるコールドプロセス製法で石鹸を作りました。石鹸を作るための材料はオイルに加えて苛性ソーダという薬品が必要になります。苛性ソーダは使い方を間違えれば皮膚を溶かすほど危険な薬品ですが、石鹸作りのほかにもプレッツェルを作る際に使われていたりと、日常的に使われてきたものでもあります。苛性ソーダは油脂と合わさると石鹸になるための鹸化反応を起こします。こうしてゆっくりと性質が変わり、オイルと苛性ソーダを合わせて石鹸が使えるようになるまでに約1ヶ月かかります。カレンデュラの種を植えてからは1年が経ちました。
日常の何気ないできごとのなかには、つい見過ごされてしまいがちな、誰かに言うほどでもないような不安を抱え続けることで、治すことが難しい傷ができてしまうことがあります。庭に出て植物に水をあげたり料理を楽しんだりしながら、ここに置かれている熟成途中の石鹸がやっと使えるようになるころには、傷の状態もほんの少しは変わっていることでしょう。